現在の食料生産システムでは大量の有機廃棄物が発生しているが、その多くは焼却処分されており、多大なエネルギーとコストを要している。本研究では、食品残渣やフードロスをキノコ栽培に活用し、従来の木質系培地(おがくず等)に代わる新たなキノコ用培地を開発した。その結果、食品残渣を主原料とした培地で栽培したヒラタケには、強力な抗酸化作用を有するエルゴチオネインが高濃度に含まれることを明らかにした。さらに、この高濃度のエルゴチオネインを保持した廃菌床の農業利用を検討した結果、植物が廃菌床由来のエルゴチオネインを吸収できることも確認された。
これらの成果は、食品残渣をキノコ生産に活用し、使用後の廃菌床を農地へ還元することで、有機資源だけではなく機能成分も地域内で循環利用できる可能性を示している。以上から本研究では、食品残渣を利用したキノコ栽培を核とする地域循環型食料生産システムを構築し、有機廃棄物の削減と高付加価値農産物の生産を両立させながら、地域資源の循環利用を促進することを目指している。
