表面処理皮膜の耐摩耗性を評価するために、日本工業規格において往復運動平面摩耗試験が定められています。本試験では、平滑な皮膜を有する平面試験片を用いる旨が規定されており、非平面形状の試験片には適用することができません。しかし実際の製造現場では、試験の容易さや、製品使用時の摩耗条件に近い方法で試験を行う必要性、また試験機の保有状況などを考慮して、非平面試験片においても往復運動平面摩耗試験を採用することがあります。このような場合、各企業が独自に行う試験となるため技術情報が少ないのが現状です。そこで本研究では、往復運動平面摩耗試験における非平面形状試験片の影響について調べることとしました。